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9月22日 東京・後楽園ホール WBA世界ミニマム級タイトルマッチ 2分10回戦
チャンピオン
(フュチュール) 多田 悦子
ただ・えつこ
挑戦者
ノンマイ・ゴーキャットジム (タイ)
Nongmuay Kokietgym
1981年5月28日/兵庫県 生年月日/出身地 __
161p 身長 __
50戦46勝4敗 アマ戦績 __
2008年5月9日 プロデビュー 2007年11月22日
10戦8勝(2KO)2分 プロ戦績 15戦10勝2敗3分
左ボクサー タイプ 右ボクサーファイター

 多田にとって後楽園ホールのリングは、JBC認可後最初の女子興行『G-Legend1』でのデビュー戦以来、3年ぶり。4戦目で世界王座に就き、今回6度目の防衛戦に臨むチャンピオンは、久々の聖地でどんなボクシングを見せてくれるのだろう。挑戦者ノンマイの名は、2010年4月にWBC暫定ライトフライ級王者として同正規王者の富樫直美(ワタナベ)と対戦し、王座を吸収されたことで知られていると思うが、その再起戦でWBCミニフライ級のシルバー王座を獲得。ところがそのタイトルも、さる5月に、同胞カニタに0−3の判定で奪われている。今回の多田への挑戦は、4ヵ月ぶりのカムバック戦。実績と王座復帰へのモチベーションは侮れないが、スピードと的確性で多田がポイントを奪い、大差判定勝ちというのが、もっとも可能性の高い結末ではないだろうか。
 スカイAで録画放送されるこの試合、両者と対戦経験のある富樫直美の解説(藤岡対カニタ戦も)も、たのしみ。
(宮田)
9月22日 東京・後楽園ホール WBC世界ミニ・フライ級タイトルマッチ 2分10回戦
チャンピオン
(竹原&畑山) 藤岡 奈穂子
ふじおか・なおこ
挑戦者1位 同シルバー王者
カニタ・ゴーキャットジム (タイ)
Kanittha Kokietgym
1975年8月18日/宮城県 生年月日/出身地 1990年3月16日/タイ
158p 身長
23戦20勝(12KO・RSC)3敗 アマ戦績
2009年9月15日 プロデビュー 2009年4月10日
6戦6勝(4KO) プロ戦績 16戦13勝(4KO)3敗
右ボクサーファイター タイプ 右ボクサーファイター

 東日本大震災の影響で延期開催された5月8日、大打撃を受けた地元・宮城の声援を背に世界チャンピオンとなった藤岡。今回はその初防衛戦である。巧者アナベル・オルティス(メキシコ)を倒し、8回終了TKOに下した試合はまだ記憶に新しいが、今回はさらに「魅せるボクシング」を披露しようとスタイル改造に取り組んだという。イメージはずばり、「ハメド」。ふてぶてしくも柔軟な動きから、目の覚めるようなアッパーを狙うはずである。その餌食としたい挑戦者カニタは、ちょうど1年前、東洋太平洋ミニフライ級王座決定戦で対戦した相手。5、6ポイント差の3−0で勝利した藤岡が「プロになって一番苦しんだ試合だった」と振り返るとおり、アグレッシブでタフなタイ人だ。前戦でノンマイを3−0の判定に破り、WBC同級シルバー王者となったばかり。5連勝で波に乗っている。そんな相手をチャンピオンは「ガンガン出てくるはず」と予測。今度こそは、「ハメド」スタイルに持ち前の豪快なパンチを乗せて、倒し切ってほしいところだ。
9月22日 東京・後楽園ホール WBA世界ライト・ミニマム級タイトルマッチ 2分10回戦
同級ランカー
(フュチュール) 安藤 麻里
あんどう・まり
同級ランカー
アマラ・ゴーキャットジム (タイ)
Ammara Kokietgym
1987年10月12日/大阪府 生年月日/出身地 1989年4月15日/タイ・ナコンサワン
154p 身長 151p
2008年7月21日 プロデビュー 2009年2月25日
10戦7勝(4KO)3敗 プロ戦績 9戦7勝(3KO)1敗1分
右ファイター タイプ スイッチするファイター

 WBAが新設するライト・ミニマム級の初代王座決定戦。安藤にとっては、初10回戦での大一番である。陸上競技・砲丸投の選手という経歴の持ち主だから、アスリートとしての基盤は確かなはずだが、プロボクシングのキャリアは二連敗でスタート。しかし、その後4連勝でB級に昇進した。初6回戦は、後楽園ホールに初遠征して現WBCアトム級14位の伊藤まみ(イマオカ)と対戦。0−2の判定で敗れ、約2ヵ月後の再戦は2−0で雪辱している。そのリベンジを含めて3連勝で今回のチャンスをつかんだわけだが、世界王座をつかむために乗り越えなければならない相手は手強い。短駆のファイター、アマラは、左右スイッチして戦うタイプ。初来日の2009年12月、現WBCアトム級7位の秋田屋まさえ(ワイルドビート)をスプリットデシジョンで下し、昨年12月には多田のWBAミニマム級王座に挑戦した経験がある。多田のスピードの前に大差判定負けだったが、それがプロ初黒星。そして今年5月に2回TKOで再起している。安藤はガッツリ打ち合うのか、多田を手本とするのか…。
 WBCの最軽量級王者、小関桃(青木)が解説初挑戦。ビシッと鋭いコメントで切り込む。
9月22日 東京・後楽園ホール WBC世界スーパーフェザー級指名挑戦者決定戦 2分10回戦
同級4位 OPBFライト級王者
(竹原&畑山) 風神 ライカ
ふうじん・らいか
同級5位
ジェレナ・ムルドジェノビック(カナダ)
Jelena Mrdjenovich
1976年1月24日/京都府 生年月日/出身地 1982年6月24日/カナダ・ヘイリバー
163p 身長 170p
2008年5月9日・JBC承認前00年5月8日 プロデビュー 2003年1月25日
8戦5勝(3KO)3敗
JBC承認前:29戦22勝(9KO)6敗1分
プロ戦績 33戦24勝(12KO)8敗1分
右ファイター タイプ 右ボクサーファイター

 WBC暫定王座決定戦となる可能性もあったが、指名挑戦者決定戦という形に。「暫定なら人に堂々と言えなかったけど、どうせやるなら正規の世界チャンピオンになりたい。これに勝てば次が世界戦だから、それを意識して戦います」と、JBC承認後まだ手にしていない世界王座に向けて、10年以上女子ボクシングを牽引してきた随一の人気者は、意欲にあふれている。そんなOPBFライト級王者にとって、2007年4月以来のスーパーフェザー級戦。その4年前の相手というのが、当時WBC同級王座を保持していたムルドジェノビックだ。前回のカナダでの対戦を振り返ると、「序盤は相手も打ち合ってくれてたけど、4Rのオープンスコアでフルマークで取られていたので、自分が焦っておいかけてしまった」とライカ。このところ、手数や追い足、スタミナ面の強化に取り組んできており、今回の相手はその成果を試すに絶好のチャンス。「大振りにならないよう気をつけて、ボディからコンパクトにパンチ繋いでいきたい」。 元王者ムルドジェノビックにとってはこれが初の海外遠征。ボーイフレンドを伴っての来日だ。最近の10戦は3勝6敗1分という数字だが、「それは、相手が世界のトップレベルばかりだから。だから評価(WBC5位)が落ちない」と説明する。フットワークに乗ったアウトボクシングが身上だが、「殴るのも好き(笑)」という170pのスマートなボクサーを、進化するファイター、ライカがどう追い詰めるかに注目したい。
9月18日 神奈川・座間キャンプ 東洋太平洋・日本スーパーウェルター級タイトルマッチ
東洋太平洋・日本
スーパーウェルター級チャンピオン
(八王子中屋) チャーリー太田
ちゃーりー・おおた
東洋太平洋同級9位・日本同級2位
十二村喜久 (角海老宝石)
とにむら・よしひさ
vs no image
1981年8月24日/米国ニューヨーク 生年月日/出身地 1983年10月3日/千葉県
168p 身長 177p
7戦7勝 アマ戦績 1戦1勝
2006年5月28日 プロデビュー 2003年2月13日
20戦18勝13KO1敗1分 プロ戦績 24戦15勝(4KO)5敗4分
右ボクサーファイター タイプ 右ボクサーファイター

 チャーリー太田はもはや、国内では無人の野を行く存在となってしまったようだ。昨年3月に柴田明雄(ワタナベ)から両王座を奪い取ってから、今回で東洋太平洋6回目、日本王座は5度目の防衛戦となる。さる8月8日にはその柴田を返り討ち。初戦を上回る内容で6回TKOに仕留めている。以前、本名チャールズ・ベラミーとして戦っていたころはとても慎重派で、見た目の分厚さとギャップを感じたものだが、今では別人のように自信に満ち、じわじわと相手にプレッシャーをかけて出る。天与の腕力は、左も右も申し分なく、一発効かせた後のツメは、容赦ない。柴田戦の後はカリフォルニアに渡り、現WBC王者サウル・アルバレスのキャンプにも参加するなど、どんどん「その先」を見据えた動きをみせている。
 こんな強大なチャンピオンの快進撃を、はたしてタイトル初挑戦の十二村は止めることができるだろうか。
 好戦的なボクサーファイターの十二村は、多数いる角海老宝石・移籍組の一人だ。ブランクを経て赤城ジムから新天地に籍を移した後の初戦だった2010年6月25日、元東洋太平洋ウェルター級王者のレフ・サンティリャン(石神井スポーツ)を2-1の判定ながら下す金星を挙げて、ランキングに復帰。その復帰戦を含めて移籍後は負け知らずの4連勝で日本2位まで上がってきた。数字だけを並べれば平凡な戦績に見えるが、B級昇格後は国内の中堅以上とばかり戦っていて、中川大資(帝拳)や沼田康司(トクホン真闘)、加藤壮次郎(協栄)ら、のちの日本王者らともわたりあっている。25戦目にして迎えるタイトルマッチに賭ける、ベテランの思いの強さに期待したい。
  『Pacifid Boxing Showdown in Camp Zama』と銘打たれたこの興行は、日本の米軍基地内で行われる初めての公式プロボクシング。かつて横須賀基地に勤める海兵だったチャーリーにとっては、“凱旋”試合でもあるわけだ。戦いの模様は、米軍放送(AFNを通じて)全世界の米軍基地で放映されるとか。またこの日は基地の開放日。地元住民との交流をはかる音楽フェスティバルの中に、ボクシング興行が組み込まれているという形だ。なお、観戦の方法などはこちらをご参照ください。
9月3日 東京・後楽園ホール 日本スーパーフェザー級タイトルマッチ
 日本スーパーフェザー級王者
 (大橋) 岡田 誠一
おかだ せいいち
日本スーパーフェザー級5位
涼野 康太 (五代)
すずしの こうた 
1982年4月6日/神奈川県横浜市 生年月日/出身地 1981年11月30日/埼玉県所沢市
172p 身長 167cm
85戦70勝(35KO・RSC)15敗 アマ戦績 なし
2005年5月18日 プロデビュー 1999年1月29日
15戦14勝(9KO)1敗 プロ戦績 33戦18勝(5KO)12敗3分
右ファイター タイプ 右ボクサーファイター
2009年3月、デビュー11年目の初ランク入りを1ラウンドKOで劇的に飾った涼野康太がついにタイトルマッチの舞台に立つ。だが、状況は決して芳しいものではない。前戦は、長身痩躯の強打者・日本フェザー級1位の天笠尚(山上)に2ラウンドKO負け。タフガイが喫した初めてのKO負けだった。そこからのダイレクトの再起戦であり、しかも、おそらくは涼野のベストウェートであるフェザー級よりも、1階級上でのタイトル挑戦となるのである。
 王者の岡田誠一は今年1月、有明コロシアムで福原力也(ワタナベ)との王座決定戦を2-1の判定で制して戴冠。4月には阪東ヒーロー(フォーラムスポーツ)を9ラウンドTKOで退けて初防衛を果たし、これが2度目の防衛戦となる。横浜高校から東京農業大学にかけて豊富なアマチュアキャリアを誇るが、アマ出身らしからぬファイターでパンチングパワーも十分。ただ、どこか相手に付き合ってしまう面が見受けられ、あと一歩、突き抜けきれない、もどかしさを感じさせる。
 日本タイトルを足掛かりに、さらに上を目指す岡田としては、フェザー級を主戦場にしてきた“格下”相手に、それこそ、格の違いを見せつけなければならない一戦であり、予想としても岡田の勝ちは順当なところと言うべきだろう。しかし、そのキャリアの大半を“格上”との対戦に費やし、2006年から2008年にかけて4連敗を喫したこともある涼野にとっては、この逆境にも、少しも臆するところはないのかもしれない。17歳のプロデビューから、ボクシングスタイルと同様、粘り強くキャリアを継続して、30歳を目前にようやくチャンスをつかんだ不屈の男が集大成を見せることができるのか。いずれにせよ、簡単には終わらない予感がする……というより、どこかで、そう期待してしまうのかもしれない。

 セミファイナルでは、横浜光ジムから大橋ジムに移籍した鈴木徹が移籍初戦を行なう。対戦相手は松田直樹(帝拳)から東洋太平洋フェザー級のベルトを強奪したジョネル・アリビオ(フィリピン)。今年5月、大沢宏晋(大星)にベルトを奪われて現在は無冠だが、鈴木にとっては初のタイトル挑戦に向け、試金石ともなる重要な試合だ。現在、日本フェザー級3位。22戦21勝(7KO)1敗の好戦績を残しているホープが、自らの再出発をどのように飾るのか。この一戦にも注目だ。
(船橋)
9月2日 東京・後楽園ホール
WBA世界ミニマム級11位・WBC15位
(ドリーム) 田中 教仁
たなか のりひと
日本ライトフライ級10位
國重 隆 (ワタナベ)
くにしげ たかし
1985年2月21日/東京都板橋区 生年月日/出身地 1976年4月22日/大阪府大阪市
アマ戦績 11戦9勝2敗
2005年3月7日 プロデビュー 2000年5月17日
17戦13勝(7KO)4敗 プロ戦績 29戦21勝(2KO)6敗2分
右ボクサーファイター タイプ 左ボクサーファイター

ミニマム級の世界ランカー・田中教仁が再起戦に臨む。田中は昨年、日本タイトル挑戦権獲得トーナメント『最強後楽園』に出場。決勝でフィリピン出身のブンブン東栄(ガブリエル・プマール)を1ラウンドで痛烈にノックアウトし、一躍、脚光を浴びた。だが、今年4月、日本ミニマム級王者・八重樫東(大橋)に挑戦するも、いいところなく完敗を喫し、初挑戦は期待を裏切る結果に終わっている。
 それ以来となる再起戦は、だから、田中にとっては真価を問われる一戦となろう。グイグイとプレッシャーをかけながら、一発強打を決めるや思い切りよく連打をまとめて相手を追い込む。その本能的とも表現したくなる迫力ある攻撃は魅力的で、決断力と度胸の良さに加え、確かな距離感覚とタイミングの良さも併せ持っている。
 対する國重隆は2002年の全日本ライトフライ級新人王で、日本タイトルにも2度挑戦(いずれも負傷引き分け)し、2008年にはメキシコで世界タイトルに挑戦するなど、経験豊富な35歳のサウスポーである。一昨年末、井岡一翔(井岡=現WBCミニマム級王者)に判定で敗れた後、心機一転、ジムを移籍したが、ここまで1勝2敗と結果を残せていない。
 八重樫に敗れたとはいえ、現時点の両者を比較すれば、経験以外のすべての面で田中が上回っていると言えると思う。粘り強い國重だけにフルラウンドを要するというのが無難な予想だが、この一戦に失地回復を期しているはずの田中が再び爆発力を見せるのか、注目したいところだ。
 また、この日は日本上位ランカー3名が登場。それぞれ興味深い対戦が組まれている。セミファイナルの日本フェザー級2位・上野則之(RK)は、元・日本ランカーの山崎武人(本多)と手合わせ。2度の日本タイトル挑戦経験も持つ上野が経験の分厚さでも上回っているが、ともに負け数も多く、敗戦をバネに這い上がってきた“雑草”同士のサバイバル戦とも位置づけられよう。上野が3度目に向けて順当に前進するのか、山崎が意地を見せて上位食いを果たすのか。
 第5試合では、日本バンタム級2位・臼井欽士郎(横浜光)と元・日本上位ランカーの中嶋孝文(ドリーム)が激突。両者ともに評価はやや下降気味だが、しっかりとしたテクニックをベースに持つ2人の組み合わせは、噛み合えば、レベルの高いシャープな攻防が期待できそう。臼井が難敵相手に上位ランクを死守するのか、中嶋がおよそ2年ぶりの返り咲きを果たすのか。
 第4試合に登場するのは、日本スーパーバンタム級3位の前之園啓史(石丸)。これが、実に5度目のランカー挑戦となる青木幸治(角海老宝石)を迎え撃つ。ともに長い左リードジャブから展開を組み立てるタイプで、序盤の主導権争いがカギを握りそう。最近の試合ではダウンを喫するなど、芳しくない内容を見せている前之園だが、得意な距離で本領を発揮するか、それとも後の暫定王者・瀬藤幹人(協栄)と引き分けたこともある青木が宿願を果たすのだろうか。
(船橋)
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