Man of the day 荒川 仁人(八王子中屋) 日本ライト級王者(WBA6位・WBC9位)
TKO4回2分4秒 ●生田 真敬(ワタナベ) 日本ライト級9位
技巧のサウスポー王者・荒川が、初挑戦の生田に付け入る隙を与えず、4回TKOで完勝。3度目の防衛に成功し、東洋太平洋ライト級王者・三垣龍次(M.T)との国内最強対決を高らかに呼びかけた。
荒川はここ最近、序盤にダウンを喫することもあったが「様子を見過ぎて、手が出ていなかった」と自己分析。この日は、開始から右のリードなど、手数を出しながら相手をよく見て試合を進めた。初回半ば過ぎには、生田の右ストレートをもらったが「見えていたので大丈夫」。ただ「生田選手もよく研究していて打ち終わりを狙ってきた。見えていながら浅くでももらうのは、相手のプレッシャーに対する自分のポジション取りが遅いということ。そこは反省点」と冷静に振り返った。以降も、時折、打ち終わりに合わせてくる生田の攻めに、落ち着いて対処した。
手数を出しながら時間を追うごとにリズムに乗った荒川の攻めは多彩。上下、強弱、ガードの内、外と、繰り出すパンチに丁寧に変化をつけ、生田を揺さぶり続ける。「ガードの固い相手に上下に散らしたりするのは、ガードを崩す上での定石。だから、最後に上を当てられた」。迎えた4回、右フックでぐらついた生田を逃さず、すかさず左で強襲。ダウンを奪うと、立ち上がった生田に左右をまとめ、レフェリーストップを呼び込んだ。チャンスに抜け目なく、きっちりフィニッシュにつなげたが「(上への)フックばかりになった。あそこでもっと上下に打ち分けたりできないと、詰め切れないこともある」と、ここも反省。どこまでも意識の高い王者が、さらに上を見るのは当然のことで「僕が3度防衛した今だからこそ、三垣選手とやる価値があるし、今だから、ファンも望んでくれる。プロとして、そういう試合を実現したい。三垣選手もそう思っているはず」と熱望した。その三垣は7月2日(土)、ケガ明けの防衛戦を予定している。
今回、荒川は試合前の約2週間ほど、現地で試合を行なう同門の野崎雅光とともにメキシコ入りしてトレーニング。地元選手の精神力に、特に強い感銘を受けたようで「向こうの選手は負けて失うものが大きい中、多少、相手がやりづらくても、自分のボクシングを貫いているところが勉強になった」と話し、「今日は、生田選手が僕の嫌なことをやってくる中で、少しは自分のボクシングを貫けたかな?」と笑顔。