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Man of the Day                        今日のベストパフォーマー
  Boxing-Zineが選ぶ、「今日のリングで最もよい仕事をした人」
6月13日 東京・後楽園ホール 第30回ファイティング・スピリット・シリーズ
(船橋)

6月7日 東京・後楽園ホール トクホンダッシュエアロ第85弾

Man of the Day
   佐藤 通也(石丸)
                
                KO1回2分23秒 ●舟木 隆太 (協栄) 

 大阪のジムから移籍してきた選手同士の拳と拳が後楽園ホールの6回戦で交錯。移籍後、4勝1敗。6回戦に連勝してこの一戦に臨む赤コーナー、舟木隆太(協栄)に対して、移籍して4年7か月ぶりのリング復帰後、江藤伸悟(白井具志堅)、打馬王那(ワタナベ)に連敗。白星が遠い青コーナー、佐藤通也(石丸)。ところが、両者が描いてきた明と暗のコントラストはこの日、一気に覆ることになる。佐藤が間合いを巧く保って試合を進め、最後は、打ち終わりを狙った右ストレートのワンパンチで舟木をノックアウト。移籍後、初勝利を挙げると同時に、2006年10月に現日本ライト級8位の岩下幸右(グリーンツダ)に判定勝利以来、久方ぶりの勝利の味を噛み締めるのだ。
 リング上でリングアナウンサーのインタビューに応えた佐藤は「5年ぶりくらいの勝利なんで本当に嬉しいです!それに初めてテンカウントで勝てたことが、めっちゃ嬉しいですね」と満面の笑み。今後の目標を聞かれ、「一戦一戦、勝って……もう年なんで、燃え尽きるまでやりたい」とコメントを残した。6月22日で32歳。2005年の西日本フェザー級新人王は、トランクスに“拳闘馬鹿”と縫い取りを入れる。13戦8勝(5KO)3敗2分。                                       (船橋)


番外編 Audience of the Day 萩原敦史 宇都宮一気
                  
「そこで強いボディだよ!」「下打って上!」「頭ふって?」「気持ち! 気持ちだよ!」 観客席から聞こえる子供の声。最初は、知り合いの選手への声援なのだと気に留めなかったが、その言葉の内容があまりに的確すぎて、声が聞こえてくる方を見やってしまった。小学生らしき男の子二人だった。とくにスポーツ刈りの子の方は、自分もボディアッパーを振るいながら小さな体から振り絞るように大声を張り上げ続けている。観衆もボクサーもその存在に気付いていて、試合後に子供たちが拍手とともに「おめでとー!」と叫ぶと、勝者はふりむき、手を振ってこたえる。そんなシーンが4回戦からメインまで続いた。
 声の主は、都内の小学3年生、萩原敦史君と宇都宮一気君。かつてボクサーだった萩原くんの父親・和雄さんに連れられて、後楽園ホールにやってきた。二人はとも空手の選手で、全日本空手の南関東東京代表(萩原君はフルコンタクト、宇都宮君は寸止め)という実力の持ち主。だが、宇都宮くんは父親が元アマチュアボクサー、萩原くんは「空手の下突きの勉強のために」真闘ジムに通っていて、ボクシングが大好きなのだ。まるで名トレーナーのように「ボディいいよ!」「ガードしっかり」と機を得た“指示”を送るのに、「バッティングによる負傷--」というアナウンスが聞こえると「バッティングってなに?」と首をかしげるあたりが微笑ましい。キミたち、バッティングなんてないに越したことはないんだよ……。
 なりたいのは「勇気があって、気持ちで闘う選手」。一対一の戦いを追究し、勇敢なボクサーを敬愛する小さな空手家たちは、格闘技界にとどまらず、ニッポンの希望の星! ところで萩原君、宇都宮君。将来、ボクサーとして後楽園ホールにもどってくる気はありませんか…? 
(宮田)

萩原敦史君(左)と宇都宮一気君
6月6日 東京・後楽園ホール 『カンムリワシファイトVol.38』

Man of the Day  具志堅用高白井・具志堅スポーツジム会長

                元WBA世界ジュニアフライ級チャンピオン 13度防衛記録保持者

 「征服者」の入場曲にのって花道を進み、リングインしただけで大歓声が沸いた。なんというか…やはり華がある。濃紺の地に大きくカンムリワシが描かれガウンは、10度目の防衛戦で着用したものだという。東日本大震災チャリティ、元WBC女子世界ストロー級チャンピオン・菊地奈々子の引退記念として行われた特別スパーリング。“カンムリワシ”具志堅用高が95年5月以来16年ぶりに、後楽園ホールのリングでグローブをはめた。前回は同年に起きた阪神大震災の支援チャリティイベントで、ジムの後輩で同じWBA元ジュニアフライ級王座を保持した渡嘉敷勝男・現渡嘉敷ジム会長と手合わせ。その際は白熱しすぎて左アキレス腱を断裂した苦い経験がある。今回は無事にリングを降りてほしい…“対渡嘉敷戦”を知る人はおそらくそう心の中で祈りながら今回のスパーリングを見守ったことだろう。55歳になったヒーローはそんな周囲の心配をよそに、サウスポースタンスで軽やかなステップを踏み、ファイティングスピリットの塊のようなスタイルで活躍した女子ボクシングの牽引役の猛アタックを、多彩な右でさばいていった。昨年9月の世界挑戦以来の“戦い”を前に菊地もトレーニングに勤しんだというが、具志堅会長も夜な夜な練習を重ねたに違いない。しかし、菊地のプレッシャーは想像以上に厳しいものだったのだろう、具志堅会長は途中から息切れ。クリンチ際に相手の腕をホールドしておどけてみせる“芝居”をうったりしながら、それでも無事に2ラウンド終了のゴングを聞いた。終了後、マイクを渡された具志堅会長は、「ちょっちゅ……キツかったな……」と一言。場内は大爆笑と拍手に包まれた。稀代のスポーツヒーローの55歳と思えぬシェイプと動き、一挙一動で観衆を惹きつけるそのエンターテイナーぶりに、脱帽である。
(宮田)
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