こんにちは。
JBC日本ボクシングコミッション・リングアナ、
メンタルトレーナーの須藤尚紀です。
五輪が終わってようやく筆を持ちました。次のパラリンピックの前に、と、ソチ時差ボケの中で書いています。
さて、その五輪から個人的に好きな種目、今回はスキージャンプの話題……
☆ ☆ ☆
『年齢とメンタル』
冬季五輪で私が好きな種目の一つに、スキージャンプがあります。
古くは札幌、近くは長野…二度の地元開催五輪で感動的なメダル獲得劇があった種目として、日本では好きな方も多いでしょう。
今回のソチ五輪でもドラマがありました。
41歳のベテラン葛西紀明選手が7回目の五輪出場で、悲願の個人メダルを獲得、銀メダル!
新たな伝説を生んでくれたまさにレジェンドが、
さらに4年後への継続、「金メダルを目指します」との現役続行宣言が出て、さらに驚かされました!!!!
15歳で彗星の如く世界の舞台に躍り出た天才少年が、ここまでの長い長い現役生活。
なぜモチベーションを保持できたのか?
それは一言、「金メダルという目標から目を離さなかったから」です。
7度のオリンピック出場は、彼にとっては目標ではありません。
あくまでも目標は金メダル。
前回まで6度のオリンピック出場の中で、もしどこかで金メダルを獲得していたら、彼は引退していたのではないかと思います。
実年齢と競技年齢。
相関関係はありますが、言うまでもなくメンタル面が大きく作用しています。
葛西紀明選手は自らを「諦めの悪い男」と表しています。
実は目標へ向かうモチベーションとして、一番大切なのがこの「諦めない」という心です。
葛西選手は過去6度、メダルを逃した失意の場面で、「諦め切れない思い」が、心の時計を止め続けたのだと思います。
4年に1度、その時計は動くのでしょう…だから、いつまでも若く、競技年齢が進まないのです。
大事なのはそこから先です。
「夢」と「目標」の違い。似て非なるもの。
「夢」は非現実的。
「目標」は現実的。
葛西選手は、止まった時計の中で現実的に活動してきました。実年齢との戦いでもあります。
個人トレーナーを招き、身体年齢の維持に努めました。
練習の中で、自分の飛行技法の長所を感じ、磨き高めることに努めました。
すべて「金メダル」という目標へ向かうモチベーションが原動力です。
この心技体が実を結んだソチ五輪でしょう。
葛西選手が銀メダルを決めたジャンプで、アプローチ(助走)に入る彼の表情が、クローズアップされてテレビに映し出されました。
あの緊張の場面で、彼は笑っていました。
そう、一番大事な要素を彼は知っています。
誰かにやらされて、成果は出ません。
自らがその競技を愛し、楽しむこと。
「銀メダルを取ったことで、いよいよ目標(金メダル)を絞らされた」
と、彼は現役続行を表明しました。
団体で金メダルを取らせなかったのは、勝利の女神からの葛西選手への提言のように思えてなりません。
4年後の平昌(ピョンチャン、韓国)五輪を今から楽しみにするのは、気が早過ぎるでしょうか…
継続は力なり。
結果が出る前に諦めている自分に気付くことです!
『心の時計を止めろ!』