こんにちは。
ＪＢＣ日本ボクシングコミッション・リングアナ、メンタルトレーナーの須藤尚紀です。
全日本新人王も決まり…ボクシング界もいよいよ年末ムード…
随分と久しぶりの投稿になってしまいましたが、今回も、誤解されやすいことばを取り上げて整理してみます。
年の「終わり」に「真ん中」の話です…

メンタルトレーニングの経験者なら必ず口にするキーワードがあります。
「ZONE（ゾーン）」
…これは、心理学用語として意訳すると「適性緊張」という語になります。

緊張しなければ成果は発揮されない。
緊張し過ぎても成果は発揮されない。

その「真ん中」を狙って最高の成果を発揮しようという時の、過不足ない緊張量の「真ん中」が「適性緊張」いわゆる「ゾーン」という訳です。

目指すのは「真ん中」。つまり「中間」。
英訳すると…「middle」…中間の緊張量？

もう少し具体性が欲しいですよね…

そこで、類義語を探してみると…
「中央」「center」→何の場所？
「平均」「average」→最高点を目指すのに？

何だかおかしな話になってきました。

最高のパフォーマンスを導き出す「適性緊張」あるいは「ゾーン」と呼ばれる、心理的な「真ん中」は、ミドルでもアベレージでもありません。
英訳するならば…
「neutral（ニュートラル）」
属性が偏らない意味での「真ん中」、いわば「中立」の心理が最高のパフォーマンスを導き出す訳です。
これは古くから日本人は好んであらゆる場面の教えに使用してきました。

心を「無」にしろ

言われたこと、ないですか？
この…どこにも属さない「無心」こそメンタルの理想です。
心の属性を無くす事。
どっち付かずの「中間」こそが理想です。決して中途半端ではありません。
真ん中が最高＝ベストなのです！

ん？
真ん中なのに最高？
…いよいよ分かりませんか？

ピンとこない方の為に、
「真ん中」が「ベスト」である事を実感出来る身近な具体例をご紹介しましょう。

皆さん、
お好きな「顔」ってありますよね…
それは、どんな定義で表されるでしょう？

例えば…
目が大きく、
鼻が高くて、
口はそれほど大きくなく、
ベースは卵形で小顔で…

なるほど…言いたい事はわかる様な…

しかし、どうでしょう？
目が大きく
→どこまでも大きくては怖いです！
鼻が高くて
→高過ぎたら天狗かピノキオ！
口はそれほど大きくなく
→どれほどですか？
ベースは卵形で小顔で
→形は好みとしても、顔が小さ過ぎたら大きな目が入らないでしょ

全て「ほどほど」を求めた結果が理想である事が分かります。
つまり、「真ん中」が「最高」な訳です。

東京大学に「顔学」というゼミがあり、この担当教授がユニークな実験をした事があるそうで、以前テレビ番組で興味深く拝見しました。
東大生の全員の顔データを取り、男女それぞれの平均値を求めてみたそうです。
すると…現れた画像、つまり「東大生の平均的な顔」は…
男女ともに最高の美男美女になったそうです。

ゼミ生から早速の質問！
「平均がこれですか？”これより上”がいるんですよね？学内にいるとは思えませんが…」
東大生がテストの点数と同じ範疇で考えているのが滑稽でした。
「これより上」とは、例えばこのステキな平均顔より目が大き過ぎるとか、鼻が大き過ぎるとか…
ついでに早大生、慶大生…と…全て「傾向」は違えども美男美女になるそうです。この「傾向」が、「趣味」や「好み」、「タイプの違い」なのでしょう。
つまり、みんな「最高！」と言いながら、気づかずに「真ん中」を求めているんですね。

白黒つけるのは極めている意味でカッコ良く見えがちですが、コントロールする上では一番楽な道なのです。
白黒つけずにステキなグレーゾーンを見つけたいものです…

『過ぎたるは及ばざるが如し』