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Boxing-Zine


こんにちは、あるいははじめまして。
JBC日本ボクシングコミッション・リングアナの須藤尚紀です。
新年度を機に、BOXING ZINEさんに寄稿させていただける事になりました。
本業(カウンセラー、メンタルトレーナー)を活かして、
ボクシングの面白さが広がる話を書いていければと思っています。
私が好きな赤塚不二夫さんの人気キャラクター『ココロのボス』(「もーれつア太郎」ほか)をパロっての
タイトルです。

皆様よろしくお願い致します。

3回目〜Round Three !

『KOとTKO…どちらが上?下?』

結果と過程』          
2013.6.14


こんにちは。

JBC日本ボクシングコミッション・リングアナの須藤尚紀です。

今回は「KO(ノックアウト)」に触れてみます。

まずは前回の解決編から…

前回末筆した…

noble art」(単語で直訳すると崇高なる芸術)を英和辞典で和訳すると…?

たくさんの反響をいただきました。ありがとうございます。

そうなんです。「拳闘、ボクシング」と出て来ます。何だか嬉しいので触れました。本気でビックリされた方が多く、筆者冥利に尽きます。



さて今回は3回目。

ボクサーに『3回目』と言うと、恐らくすぐに思い描くのが『3回目のダウン』…3ノックダウン・ルール。


ダウンする側?

ダウンさせる側?


どちらをすぐにイメージしましたか?

悩まず、すぐに「ダウンさせる側」をイメージしてもらいたいものです。


その3ノックダウン・ルール(4回戦は2ノックダウン)で自動的にKOとなるのが現在のJBCルール。あとはダウン後の10カウントがKOなのはご存知の通り。リングアウト(場外)での20カウント、ダウン後のタオル投入もKOです。


「最近はすぐ(レフェリーに)止められるからKOがなくなった、TKOばかりになってしまうよ」


関係者から詳しいファンまで、あちこちで時々耳にするセリフですが、私はこれを聞くと…「あれ?皆さんTKOがお嫌いですか?TKOが聞いたら泣きますよ、可哀想じゃないですか」…と思ってしまいます。

KO、TKOを語る前に、感動的な判定勝ちもある事は頭に入れておくとして…

野球で投手戦よりも乱打戦を好むファンが多い様に…

あるいは、サッカーでの厳しい防御テクニックを観るよりもゴールネットが揺れる興奮が望まれる様に…ボクシングではノックダウンのシーンが好まれるものです。



さて、問題は試合結果、公式記録。

どうもKOよりTKOは低く見られている様でなりません。ボクサーからもTKOよりKOを重んじる差別を感じます。


そんな時、私はこう整理して説明しています。

〜KOとTKOは管理上の「区別」で「差別」ではない。そもそも国や団体でルールの区別が違うし、日本国内でも若干の変遷がある。だから戦績にはKOもTKOもまとめて「KO勝利」にしてある。〜

…と。

さらには、どうしても「差別」したい輩にはこう解説すると納得してくれます。

1)ルールで必然的に試合が終わるのがKO。(先に書いた10カウント、3ノックダウン等)


2)レフェリー判断で終わるのがTKO。(戦況から選手の健康管理を鑑みたレフェリー・ストップ等)

3)KOの手続きを省略するレフェリー判断で終わるのもTKO。(10カウントをする必要がない失神状態等)

つまり、多くの関係者が誤解する


KO>TKO

という思い込みを、上記の

3>1>2

TKO>KO>TKO

…という説明で価値観は整理してもらえる。

「T」が付く事での上下の「差別」はないのである。

「結果」と「過程」という価値観には前回触れました。


そもそも、KOかTKOかという価値観があるとすれば、それは公式記録の「結果」へのこだわりが表れた価値観にも見えますが、実は、そんな…どの様に終わったのかを認めてもらいたい「過程」にこだわる価値観…なのだと思います。


『ゴール(結果、目的)は一つ、ルート(過程、方法)は無限』

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ラウンド3 『KO(ノックアウト)』
ラウンド2 『結果と過程』
ラウンド1 『選手に届く応援とは』