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Boxing-Zine


 月日 東京・後楽園ホール 日本級タイトルマッチ
日本チャンピオン 東洋太平洋3位
加藤 善孝(角海老宝石)
日本1位 東洋太平洋8位
近藤 明広(日東)
1984年11月23日 茨城県日立市 生年月日/出身地 1985年4月3日 埼玉県加須市
171cm 身長 173cm
アマ戦績・実績 43戦30勝(17KO・RSC)13敗 
2003年インターハイ準優勝
2004年6月23日 プロデビュー 2006年5月22日
25戦20勝(5KO)4敗1分
2009年12月、日本王者・近藤明広に挑み、判定負け
2011年10月、荒川仁人が返上した日本王座を稲垣孝と争い判定勝ち
プロ戦績・実績 19戦16勝(6KO)2敗1分
2007年12月、全日本ライト級新人王
2009年8月、日本王者・三垣龍次に45秒TKO勝ちで王座奪取
2010年4月、荒川仁人に判定負けで王座陥落
右ボクサーファイター タイプ 右ボクサーファイター

 立場を入れ替えての再戦となる。前回は2009年12月、 日本王者・近藤明広に加藤善孝が挑み、2-1の判定で近藤が初防衛に成功している。試合は3回に左フックでダウンを奪った近藤が後半に入って距離を巧みにコントロールし、挽回を図る加藤の攻めを抑える形で終わった。採点以上に近藤の巧さをより印象づけた試合だったが、今回は果たしてどうなるだろうか。
 近藤はその後、2度目の防衛戦で現・東洋太平洋王者の荒川仁人(八王子中屋)から先制のダウンを奪ったものの、判定負けでベルトを手放した。それ以降、3勝1分の無敗で上位ランクをキープしてこの日を迎えるが、内容自体は精彩を欠いている。一方の加藤も強打の日本ランカー・大村光矢(三迫)に3回TKO負けで連敗。その試合で眼窩底骨折を負い、ノーランカー相手の復帰戦ではダウンを喫しての辛勝と苦しいキャリアをたどった。だが、昨年、丸山伸雄(八王子中屋)とのランカー対決を制して王座決定戦に臨むと稲垣孝(フラッシュ赤羽)を判定で退け、念願のベルトを巻いた。
 両者の近況を比べば、やや加藤が優位と言えそうだが、約2年越しとなる王座返り咲きのチャンスを前に、近藤のモチベーションは大いに高まっているはずである。対する加藤にとっても雪辱を果たす絶好の舞台。互いに手の内を知り尽くした再戦とはいえ、かみ合わない試合にはならないだろう。
 前回の対戦では、好試合の予感に満ち満ちた緊迫感あふれる立ち上がりの攻防が記憶に残る。近藤が奪った3回のダウンは目に見えて流れを変えるほどの効果はなかったものの、両者の心理に微妙な影響を与え、その後の展開を左右したことは間違いない。ともに左を基点にするボクサーファイターだが、そのキャリアやスタイルは対照的。プロ叩き上げ、フィジカルの強さとスタミナが特長のファイター寄りの加藤と、アマチュアキャリアをベースに、スピーディでテクニカルな攻防が身上のボクサー寄りの近藤。それぞれ、苦しい時期を勝ち抜き、再び相まみえる両者の主導権争いは、初戦以上に長く、厳しくなることが想像されるが、どちらが先に心理面で優位に立つことができるか。序盤から白熱した攻防が展開されそうだ。
(船橋)